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【2025年5月版】国内外ライフサイエンス・医療・バイオ業界ニュースまとめ

作成者: Central Link|6/4/25 1:52 AM

国内外のライフサイエンス・医療・バイオ業界

🧬 国内の研究・開発動向

がん研究会・理研:「RK-582」の第I相治験を開始

がん研究会と理化学研究所は、タンキラーゼ阻害剤「RK-582」の第I相医師主導治験を、大腸がん患者を対象に国内で開始しました。

図1. タンキラーゼ阻害剤によるWnt/β-カテニンシグナルの遮断

RK-582は、PARPファミリーの酵素タンキラーゼを標的とした分子標的治療薬であり、DNA修復阻害による抗腫瘍効果が期待されています。革新的がん医療実用化研究事業(AMED)の支援を受けて進められており、治療選択肢の少ない進行がん患者に対して、新たな治療法となる可能性があります。今後の安全性・有効性の検証に注目が集まります。
参照元:国立研究開発法人日本医療研究開発機構

 

金沢大学:腫瘍内血管を破壊する新たながん治療法

金沢大学の研究チームは、腫瘍に栄養を供給する内部血管を特異的に破壊する、新たながん治療法の開発に成功しました。
このアプローチは、腫瘍自体を直接攻撃するのではなく、腫瘍が生存・増殖するために必要な血流を遮断することで間接的に効果を発揮します。AMEDの創薬基盤推進研究事業の成果として報告されており、既存の化学療法や免疫療法との併用によって高い治療効果が見込まれます。今後、臨床応用に向けたさらなる研究が期待されます。
参照元:国立研究開発法人日本医療研究開発機構

京大CiRA:RSウイルスに対する呼吸器オルガノイド研究

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、ヒトiPS細胞から作製された呼吸器オルガノイドを用い、RSウイルス(RSV)感染症の感染メカニズムを解明する研究を進めています。

図1:ヒト呼吸器オルガノイドのRSウイルス感染実験

これは、革新的先端研究開発支援事業(AMED)の一環で、感染初期のウイルスの挙動や細胞応答を三次元的に再現可能なモデルとして注目されています。従来の動物モデルや二次元培養では再現困難だった複雑な現象の理解が可能となり、今後の治療薬・ワクチン開発への貢献が期待されます。
参照元:
京都大学 iPS細胞研究所

💊 新薬・治療法の開発

ヤンセン:がん領域で4製品の発売を予定

ヤンセンファーマは、2025年以降にがん領域で4つの新薬を順次市場導入する計画を明らかにしました。
中でも、FGFR阻害薬「バルバーサ錠」や二重特異性T細胞誘導抗体「テクベイリ皮下注」は、がん細胞を特異的に標的とし、免疫システムの活性化を促す新たな機序を持ちます。血液がんや固形がんへの適応が検討されており、個別化医療の推進とともに、治療の幅を大きく広げる可能性があります。医療現場での導入に向けた情報提供活動も加速しています。
参照元 :製薬業界の転職サイト Answers(アンサーズ)

ファイザー:片頭痛治療薬「リメゲパント」承認へ

ファイザーは、片頭痛の予防と急性期治療の両方に対応する経口CGRP受容体拮抗薬「リメゲパント」の日本国内での承認取得を目指しています。
本剤はCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)経路を阻害し、発症の原因そのものにアプローチする画期的な治療薬です。既に米国や欧州では高い評価を得ており、利便性の高い内服薬として患者のQOL向上に寄与することが期待されます。国内における新たな片頭痛治療のスタンダードとなる可能性もあります。
参照元 : 製薬業界の転職サイト Answers(アンサーズ)

🏢 企業動向・業績

日本化薬、ライフサイエンス事業で2.3%増収

日本化薬は2025年3月期通期決算にて、ライフサイエンス事業の売上高が前年比2.3%増の650億100万円に達したと発表しました。
薬価改定の影響を受けたものの、国内向け原薬の安定供給や、海外市場への輸出、CDMO(受託製造開発)分野の成長が寄与しました。特にバイオ医薬品の製造受託に関する引き合いが増加しており、製造体制の強化と研究開発の拡充が今後の収益拡大を後押しすると見られています。
参照元 :
 日刊薬業 - 医薬品産業の総合情報サイト

🌐 国際動向

スイス:バイオテク企業の資金調達が過去最高に

スイスのバイオテクノロジー産業では、2024年度に未上場企業による資金調達額が過去最高を更新しました。
創薬・細胞治療・遺伝子編集分野などへの注目が高まり、ベンチャーキャピタルからの積極的な投資が集まっています。欧州域内での研究開発競争の激化に加え、米国・アジアの製薬企業とのアライアンス形成も進んでおり、スイス発の革新的医療技術が世界市場でさらに存在感を高めると予想されます。
参照元 : 日本貿易振興機構(ジェトロ)

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