【2025年6月版】国内外ライフサイエンス・医療・バイオ業界ニュースまとめ

🔬 研究開発・技術革新
京セラ:SAW技術をバイオ分野に応用
京セラは、表面弾性波(SAW)技術を応用し、エクオールの産生能力を約7分で測定できるバイオセンサを開発しました。エクオールは更年期対策などに有効な成分で、日本人の約半数しか体内で生成できません。このセンサは尿中のエクオール濃度をリアルタイムで定量測定し、5段階で評価します。ヘルスケアシステムズと共同で装置を開発し、2024年10月より広島の薬局で実証実験を開始。栄養士による生活改善アドバイスも行われます。将来的には免疫やストレス指標にも対応予定で、予防医療や健康寿命の延伸への貢献が期待されています。
参考元:SAW技術のバイオ分野への応用に挑む京セラ、ヒトの健康を支えるエクオールの産生能力を7分で確認 | TECH+(テックプラス)
帝京大学と東京科学大学:肥満と尿酸値の関係を解明
帝京大学と東京科学大学の研究チームは、肥満やメタボリックシンドロームが尿酸値を上昇させ、痛風の原因となる仕組みを解明しました。この研究は、肥満によるインスリン抵抗性の増加が腎臓の尿酸排泄機能を低下させること、さらに尿酸トランスポーター遺伝子の個人差が尿酸値に影響を与えることを明らかにしました。これらの知見は、痛風の予防や治療法の開発に貢献することが期待されます。
参考元:肥満・メタボが尿酸値を上げ、痛風になる。帝京大と東京科学大が仕組み解明 | TECH+(テックプラス)
浜松医科大学:近赤外光を用いたがん治療DDSを開発
浜松医科大学は、近赤外光(NIR)を照射することで薬剤をがん組織へ選択的に放出するドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発しました。近赤外光は生体組織への透過性が高く、非侵襲でのがん治療を可能にします。このDDSは、がん細胞をピンポイントで狙うことで副作用の低減や治療効果の向上が期待されます。研究は光医学総合研究所で行われており、近赤外光トモグラフィや蛍光顕微鏡なども併用されています。浜松ホトニクスとの共同開発により、高精度な計測・診断機器の導入も進行中です。これにより、がんの早期発見・治療や、患者のQOL向上に貢献することが期待されています。
参考元:研究内容|浜松医科大学 光医学総合研究所 バイオフォトニクスイノベーション寄附講座
🏢 企業動向・戦略
TOWING:バイオ炭「宙炭」で約19.4億円の資金調達
TOWINGは、独自開発のバイオ炭「宙炭(そらたん)」の事業拡大に向け、シリーズBラウンドで約19.4億円を調達しました。累計調達額は約29.5億円に達します。「宙炭」は中性で扱いやすく、土壌改良・収穫量向上・脱化学肥料などの効果に加え、炭素固定による温室効果ガス削減にも貢献します。資金は豊橋・岩手の量産プラント整備や海外展開、人材採用に活用されます。投資にはJICN、サントリー、兼松など多様な企業が参加。米国、ブラジル、タイでは大規模農業実証も開始済み。TOWINGは持続可能な食料システムと脱炭素社会の実現を目指しています。
参考元:TOWING、高機能バイオ炭「宙炭」利用拡大へ 新たに約19.4億円調達 | 環境ビジネスオンライン
大日本住友製薬:再生医療CDMO市場に参入
大日本住友製薬(住友ファーマ)は、住友化学と共同で再生医療CDMO市場に参入し、新会社「S-RACMO(エスラクモ)」を設立しました。S-RACMOは再生・細胞医薬品の製造・製法開発を受託するCDMO事業を展開し、同分野の商用生産体制構築を支援します。大阪・吹田に建設された製造施設「FORCE」は2022年2月に稼働開始。住友化学は2024年に出資比率を66.6%に引き上げ、主導的立場で事業を推進。両社の技術融合により、iPS細胞などの先端医療製品の実用化を目指します。今後は難治性疾患に対する新たな治療法の提供に貢献することが期待されています。
🌐 国際イベント・展示会
2025 BIO International Convention:ボストンで開催
2025年6月16日〜19日、米国ボストンで世界最大級のバイオ展示会「BIO International Convention」が開催されます。日本からはジェトロ主催のジャパンパビリオンに24社が出展し、再生医療、がん免疫、細胞治療などの先端技術を紹介します。出展企業にはiXgene、オプティアム・バイオ、DiveRadGel、ペプチグロースなどが含まれます。6月18日にはCIC(Cambridge Innovation Center)で「Japan Innovation Night」が開催され、日本のスタートアップ約10社が海外投資家に向けてピッチを実施します。この展示会は日本企業にとって国際的な連携・ビジネス拡大の貴重な機会となります。
Japan Health 2025:インテックス大阪で初開催
2025年6月25日〜27日、インテックス大阪にて「Japan Health 2025」が初開催されます。本展はArab Healthの姉妹展で、万博公式イベント「健康とウェルビーイングウィーク」とも連動。370社以上が出展し、医療機器・ヘルスケア分野の最新技術を紹介します。アメリカ、イタリア、ドイツなど10カ国がナショナルパビリオンとして参加。ジェトロは国内40社を集めて海外展開支援も実施。期間中は6テーマに基づく国際カンファレンスと、招待制の「Future Health Summit」も開催。日本の医療技術と国際競争力の発信の場として注目されています。
参考元:医療機器・ヘルスケア関連製品の国際見本市 "Japan Health"
⚖️ 規制・政策動向
日本製薬工業協会:創薬エコシステムの強化を推進
日本製薬工業協会(JPMA)は、産学官の連携による創薬エコシステムの強化を推進しています。製薬企業、アカデミア、バイオベンチャー、CRO・CMOなどが連携し、研究から製造まで一体となった体制を構築。これにより、革新的医薬品の開発効率を高め、イノベーション創出を加速します。JPMAは、アカデミアやスタートアップとの連携強化、海外展開の支援、政府への政策提言も行っています。また、健康医療データの活用や分散型臨床試験(DCT)推進など、デジタル技術も活用。日本の創薬力を底上げし、迅速な医薬品提供を目指します。
参考元:「創薬大国ニッポン」復活へ、カギを握るのは? 創薬エコシステムでイノベーションを強化 | 日本製薬工業協会 | 東洋経済オンライン
🧪 高品質なヒト検体を、研究者の手元へ
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