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抗体(免疫グロブリン)の定義と構造: 免疫系の守り手

作成者: Central Link株式会社|12/8/23 6:14 AM

 

抗体は、免疫系の中で重要な役割を果たすタンパク質で、異物(細菌、ウイルス、他の病原体)から体を守る重要な要素です。この記事では、抗体の定義とその構造に焦点を当てて、免疫系の仕組みを探ります。

 

抗体とは?

抗体は、獲得免疫で活躍するB細胞によって生成される、免疫グロブリン(Immunoglobulin: Ig)とも呼ばれるタンパク質で、異物(抗原)に対抗して体を守る役割を担っています。

抗体は特定の抗原に結合し、それによって異物を無力化したり、免疫細胞を引き寄せて攻撃したりします。

 

抗体の主な構造

抗体は、Y字型の構造を持つタンパク質で、基本的には二本の重鎖(Heavy chain)と二本の軽鎖(Light chain)から構成されます。それぞれの重鎖と軽鎖はジスルフィド結合によって結びついています。

 

 

  1. H鎖(Heavy Chain):

    • 抗体の構造の一部であり、可変領域(V領域)と定常領域(C領域)からなります。H鎖はFab(Fragment antigen-binding)およびFc(Fragment crystallizable)の形成に関与します。
  2. L鎖(Light Chain):

    • 抗体の構造の一部であり、可変領域(V領域)と定常領域(C領域)からなります。L鎖もFabおよびFcの形成に寄与します。
  3. 可変領域(V領域):

    • 抗体の抗原結合部分であり、H鎖とL鎖のN末端側に位置しています。V領域は異なる抗原に特異的に結合するため、抗体の多様性を生み出します。
  4. 定常領域(C領域):

    • 抗体の基本的な構造を提供する部分であり、H鎖およびL鎖のC末端側に位置しています。C領域はFcの形成に関与します。
  5. Fab(Fragment antigen-binding):

    • 抗体をタンパク質分解酵素のパパインで消化すると、H鎖-H鎖を繋ぐジスルフィド結合(ヒンジ部位)の間が切断され、抗体は3 つの断片に分かれます。N末端側の2つの断片をFab領域といいます。Fabの「ab」は「抗原に結合する(antigen binding)」を指します。
  6. Fc(Fragment crystallizable):

    • 抗体をタンパク質分解酵素のパパインで消化すると、H鎖-H鎖を繋ぐジスルフィド結合(ヒンジ部位)の間が切断され、抗体は3 つの断片に分かれます。C末端側の断片をFc領域といいます。Fcの「c」は「結晶化できる(crystalizable)」を意味しています。

抗体の働き

抗体は様々な働きを持っており、以下がその主な機能です。

  • 中和抗体: 病原体を無力化して感染を防ぐ。
  • 補体活性化: 免疫反応を活性化して細菌やウイルスを攻撃する。
  • オプソニン化: 病原体を目立ちやすくし、貪食細胞を引き寄せる。

 

まとめ

抗体は免疫系の重要な構成要素であり、その複雑な構造と多様な機能によって私たちの体を異物から守ります。この記事を通じて、抗体の基本的な概念と構造について理解し、免疫系の働きを深堀りしました。抗体による防御メカニズムは、私たちの健康維持に欠かせないものです。

 

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