抗体精製の基本:効果的な手法とポイント
By
Central Link株式会社
·
1 minute read
抗体の作製をするためには、目的の抗体を産生させる・選択するだけでなく、抗体以外の不要な物質を取り除き、精製することも重要です。このブログでは、基本的な抗体の精製方法について解説します。
抗体精製の基本スキーム
1. 清澄化(Clarification)
- 目的: 原料から抗体以外のタンパク質や不純物を除去する。
- 手法: 遠心分離、フィルターによるろ過、塩析など。
- 注意: 原料や抗体の種類によって調整が必要。
2. 回収(Capture)
- 目的: 目的の抗体を速やかに分離・濃縮する。
- 手法: 主にアフィニティークロマトグラフィーが使用される。
- IgGの場合: Protein A/Gによるアフィニティークロマトグラフィー。
- 他の抗体: 抗原アフィニティー精製など。
3. 中間精製(Intermediate purification)
- 目的: 回収ステップで一緒に回収された夾雑物を除去する。
- 手法: イオン交換クロマトグラフィーが一般的。
- 等電点の情報がない場合、電気泳動で等電点を調べる。
4. 最終精製(Polishing)
- 目的: 残存する夾雑物を高性能カラムを用いて除去し、最終的な精製タンパク質を得る。
- 手法: 高分離能なカラムを使用したゲルろ過クロマトグラフィーが一般的。
抗体精製で用いられる主なクロマトグラフィー手法
段階 | クロマトグラフィー手法 | 分離パラメーター | 特徴 |
---|---|---|---|
回収 | Protein A/Gアフィニティークロマトグラフィー | 特異的親和性 | ワンステップで高い純度を得ることができる。 |
回収 | 抗体アフィニティークロマトグラフィー | 群特異的親和性 | 立体構造の類似性を認識して選択的分離が可能 |
回収 | Thiophilicアフィニティークロマトグラフィー |
Thiophilic interaction |
抗体の種類により使用。疎水性相互作用クロマトグラフィーと同様な結合・溶出条件を使用 |
中間精製 | イオン交換クロマトグラフィー | 電荷 | 処理量、処理スピードが優れており、幅広いラインナップ |
最終精製 | ゲルろ過クロマトグラフィー | 分子サイズ(分子量) | 少ない処理量で高い精製効果。バッファーの交換も可能。 |
注意点と工夫
- 特異性の確認: 各ステップで抗体の特異性を確認し、不要な成分の取り込みを最小限に抑える。
- pHや塩濃度の調整: 抗体の特性に合わせて適切な条件で処理。
- 成分の保護: 抗体が不安定な場合、最適な条件で取り扱い、失活を避ける。
抗体精製は研究や医療の分野での応用において極めて重要であり、細心の注意が必要です。
Central Link株式会社では、原料採用が可能な様々な抗体を提案しており、主に体外診断薬を製造するお客様へ供給しています。
抗体、ヒトや動物の生体試料、そのほかバイオ製品をお探しの際はお気軽にご相談ください。